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メタボリックシンドローム

概要

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型の肥満に高血圧、高血糖、脂質異常などの異常が重なって、将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高まっている状態をいいます。現代の生活ではデスクワーク中心の仕事、車での移動の普及によって運動不足になる人が増え、また食生活が豊かになったことからメタボリックシンドロームの人が増加し問題となっています。肥満が体格指数(BMI)を基準に診断されるのに対し、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積と高血圧、高血糖、脂質異常などを診断基準とします。皮下脂肪の蓄積による肥満よりもメタボリックシンドロームのほうがより動脈硬化性疾患のリスクが高いといわれています。メタボリックシンドロームが進行すると、ドミノ倒しのように高血圧や糖代謝異常などが起こり、次いで動脈硬化、虚血性心疾患や脳血管障害、最終的に心不全や脳卒中、腎不全などの重大な病気が引き起こされます。これをメタボリックドミノといい、早い段階でドミノ倒しを食い止めるには、生活習慣の改善がとても大切です。

原因

内臓に脂肪がたまると、TNF-α(アルファ)、IL-6などの悪玉因子がつくられます。すると血糖値を下げる働きを持つインスリンがうまく作用しなくなり(インスリン感受性の低下、あるいはインスリン抵抗性とも言います)、高血糖や脂質異常症、高血圧を引き起こしやすくなります。その状態が続くと糖尿病や、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化性疾患を発症しやすくなります。そのため、肥満であっても内臓脂肪が蓄積されていなければメタボリックシンドロームとは診断されません。また日本人は欧米人に比べるともともとインスリンの分泌量が少ないといわれており、そこにインスリン抵抗性が加わることで糖尿病など生活習慣病の有病率を上げる要因となっているとも指摘されています。さらに近年では、肝臓などの臓器に脂肪が蓄積されることも、メタボリックシンドロームの原因になるという研究が報告されています。

症状

メタボリックシンドロームになっても、何らかの自覚症状が表れるわけではありません。ですが、体系的な変化や血圧、血糖値、中性脂肪値に異常が表れ、それが病気を疑う判断基準となります。具体的には、腹囲が男性なら85㎝以上、女性は90㎝以上あることを必須条件とし、①脂質異常(中性脂肪が150㎎/dL以上かHDLコレステロールが40㎎/dL未満)、②高血圧(血圧が130/85mmHg以上)、③高血糖(空腹時血糖が110㎎/dL以上)の3つのうち2つ以上が認められればメタボリックシンドロームと診断され、1つでも該当すれば予備軍であることが疑われます。

検査・診断

まずは腹囲を測定します。食事前や食後数時間がたった空腹時に、おへその高さの腹囲を軽く息を吐いた状態で測ります。男性は85㎝以上、女性は90㎝以上あればメタボリックシンドロームが疑われます。また血圧測定や血液検査を行い、血圧、血糖、脂質の値を調べます。内臓脂肪蓄積を正確に測るためにCT検査が行われることもあります。またメタボリックシンドロームと診断された場合、糖尿病の傾向がないかどうかを診るために、糖負荷試験が行われることもあります。

治療

生活習慣の改善により、内臓脂肪の減少を測ります。食事面においては腹八分目を心がけ、だらだらと食べない、間食をしない、食物繊維をよく取ることなどを意識します。3大栄養素といわれる炭水化物、タンパク質、脂肪の量と質を重視し、米飯を中心とした日本食を取り入れて魚や野菜、大豆などの植物性たんぱく質をバランス良く摂取することが勧められています。また運動療法も効果的であり、インスリンの働きを良くし、血糖値の低下、基礎代謝の向上、血圧の低下、中性脂肪やコレステロール値の改善、エネルギー消費量アップなどをもたらします。運動量はややきつい程度が望ましく、ウォーキングやサイクリング、ストレッチなどが推奨されています。

予防/治療後の注意

メタボリックシンドロームを予防するためには、毎日の生活の中でバランスの取れた食事と適度な運動を意識する必要があります。また最近の研究により、妊婦の栄養不足によって低体重児として生まれた人は、成人したときにメタボリックシンドロームになりやすいということがわかってきました。妊娠中の人、妊娠の可能性のある世代の人は、特に適切な栄養摂取を心がける必要があります。

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